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(主に個人)VTuber界隈・市場のいまとこれから - ①配信と動画の形態について

この文章ではVTuberがどのように活動をすることが「伸び」につながるのかを考えていきます。

もっとも、伸びるための要素というのは多岐にわたり一度にすべてを考えることは困難です。

今回はその中でも特にわかりやすい軸として「配信・動画といったコンテンツの提供形態」について考えます。

ちなみに一般的にVTuberの伸び方といった情報は「VTuberがどう行動すべきか、YouTubeのシステムがどうか」という話に終始しています。

しかしながら現実にはリスナーがいて初めて活動が成立するわけで、リスナーの状況も併せて考える必要があると考えています。

背景

2026年現在、小規模な事務所所属や個人勢VTuberの活動は配信が主流になっていると思います。

一方で、数万~10万人規模の爆発的な伸びを見せるVTuberには動画勢が多い印象があります。

配信が主流であるのに、動画勢が爆発的に伸びる。逆に言うと動画で爆発的に伸びる可能性が見えていても、配信を中心に据える人が多い。

もちろんどちらであっても伸びている人もいるし、その形態だから伸びたのかその人自身の魅力によって伸びたのかは定かではありません。

ただ、なぜこのような状況が生まれているのかを考えることが活動のヒントにならないだろうかと考えています。

結論

2026年現在、個人VTuberのコンテンツは飽和状態に近く、「リスナーの時間」の奪い合いが発生していると考えています。

この状況を踏まえてコンテンツの性質に応じた配信・動画形態を使い分けていくことが有効だと考えています。

特に配信に大きな比重が置かれている現状から、動画を織り交ぜていくスタイルにシフトすることは全般的に有効だと思います。

有効そうなこと

  • 活動内容と合致するのであれば 横動画を主体 にする
  • 配信主体の場合は 切り抜きショート も作成する
  • 動画と配信のバランスを取ることで配信の価値が高まる
    • リスナーの疲弊を避けられる
    • 機会を増やしすぎないほうがプレミア感が高まる

VTuberを取り巻く世界 - VTuber市場

トップVTuberのチャンネル登録者数が400万人であることから、VTuberのリスナー人口は数千万人規模であると考えられます。

ANYCOLOR社の決算資料の「若年層の3割程度が見ている」という話も踏まえると1000万~3000万人程度と考えておけば大外しはしないでしょうか。

他分野の趣味では読書が最多で5割、映画やスポーツ観戦、ゲームでも4割程度、つまり5000万人程度で頭打ちです。

これらの情報からVTuberはメジャーなカルチャーとして十分に浸透している状況にあると言えるでしょう。

もちろんこれから更に人口が増える可能性もありますが、概ね成熟した状態と捉えて問題ないと思われます。

一方で2026年現在のVTuberの人数は6万人という見解をよく目にします。

実際に活発に活動している人はもっと少ないものと思いますが、数万人規模であることはおそらく正しいかと思います。

VTuberのリスナーが数千万人規模であると言っても大半は大手事務所の誰かを知っている、という層だと思われます。

そう考えるとごく一部(おそらく数十万から数百万人程度)のリスナーは数万人のVTuberから見る対象を選んでいる状態だと思われます。

実際「VTuberとして活動すれば誰でも簡単に伸びる」という状態でないのは明らかなので、「VTuberは飽和している」といって差し支えないでしょう。

配信・動画の形態ごとの特性

VTuberが提供するコンテンツのフォーマットはライブ配信・横動画・ショート動画に3分されます。

ライブ配信にも縦横があるとか、配信のアーカイブは横動画と変わらないとか細かい話はあります。

しかし、実際に活動するVTuberの意識や取り組む内容としてはこの3つであると言って問題ないはずです。

これら3つの形態がどのような特性を持っているのかを検討していきます。

配信

長所

  • 配信時間が長いとおすすめに出やすいYouTubeの仕様により、時間を伸ばすことで見つけてもらえる可能性が高まる。
  • 内容の密度が低いのでBGMとして聞き流す(見始めた人が離脱しない)ことが期待できる。
  • インタラクティブなやり取りができるので、会話を含めた「参加型コンテンツ」を提供できる。
  • リアルタイム視聴の「みんなが集まっている感」により、自分だけ参加できないことへの焦燥感が生まれる(FOMO)。
  • 現実時間・人間の行動に依存するためハプニングが期待できる。
  • 制作コストが低い(最低限の準備でよい)。

短所

  • 占有時間が長いため物理的に見られない。
  • 内容の密度が低いため「効率よく内容を知りたい」需要に応えられない。
  • リアルタイムを逃すとインタラクティブなやり取りがなくなり、「乗り遅れた感」が生まれるため見られづらい。
  • 実施時間帯が多数のVTuberで被るため「見たいけど見られない」状態が生まれる(同時接続の奪い合い)。
  • 現実時間・人間の行動の制約があるためクオリティに上限がある。
  • リアルタイムで配信する必要があるためVTuberの生活リズムに影響する。

横動画

長所

  • コンテンツが配信よりも短く、リスナーの可処分時間を占有しづらい。
  • 動画は配信よりもテーマが定まっており、効率よく見られる。
    • 内容の方向性が明確
    • 情報の密度も高い
  • 編集できるので内容のクオリティを高められる。
  • 配信と違ってFOMOが生まれないので、リアタイでなくとも「乗り遅れた感」が発生しない。
  • 視聴者は好きな時間に好きなものを見られる(同時視聴の奪い合いが発生しない)。
  • ショート動画に比べて投稿本数が格段に少なく、検索しやすい。
  • 制作時間を分割したり外注して作業できるので制作負荷が分散される。
  • 時間の制限がないので凝った内容でも取り扱うことができる。

短所

  • 制作コストが高い。
  • 参加型コンテンツは提供しづらい。
  • FOMOを活用した人集めができない。
  • ハプニングが(本当の意味で)起きづらい。
  • ショート動画のように受動的に自動再生されることが少ない。

ショート動画

長所

  • コンテンツが動画よりもさらに短く、リスナーの可処分時間を占有しない。
  • YouTubeアプリの仕様により特に理由なく再生されやすい。
  • 連続して再生されるものが同様に短い(ショートからショートに飛ぶ)ので、全体として「みんなに見てもらえる」状態になる。
  • 短いので横動画よりは制作コストが低い。
  • 時間が非常に短いので内容をしっかりと作り込む必要がなく、一発ネタでも成立する。
  • 制作時間を分割したり外注して作業できるので制作負荷が分散される。
  • 視聴者は好きな時間に好きなものを見られる(同時視聴の奪い合いが発生しない)。

短所

  • 投稿数が非常に多い(新規投稿の大半とされる)ので検索導線で見つけてもらうことが難しい(埋もれる)。
    • 狙った内容で見つけてもらうことが困難。
  • 時間の制約が強いので表現できる内容に限りがあり、コンテンツを作り込むことができない。
  • 基本的に自動再生でどんどん流れていくので、ショート自体は再生されても本人に強く関心を持ってもらえない(流れる)。
    • ショート動画は他のコンテンツに繋がらない・配信を見てもらえない、という意見と一致。

まとめ

ここまで列挙した内容をもとに各形態の特徴を以下のように整理してみました。

  • 配信
    • ◯ 枠組み自体によって視聴者が見るモチベーションを煽ることができる(価値のバフ)。
    • ◯ リスナーが配信に関与するコンテンツを提供できる。
    • ◯ 事前の準備を行わず気軽に提供できる。
    • x リスナーの奪い合いが発生しやすく、目立つためには結局追加要素(長時間・企画・運)が必要。
    • x 活動時間の制約が大きい。
    • x 凝った内容・効率のいい内容を提供しづらい。
  • 横動画
    • ◯ コンテンツを意識的に発見してもらいやすい。
    • ◯ リスナーの奪い合いが発生しづらい(リアタイ制限がない、尺が短い)。
    • ◯ 凝ったコンテンツを作れる(情報密度、制作時間の分散・外注、尺の制限がない)。
    • x 制作に手間がかかる。
    • x 枠組みによる価値のバフ・YouTubeによるシステムのバフが弱い。
  • ショート動画
    • ◯ リスナーの奪い合いが発生しづらい(リアタイ制限がない、尺が短い)。
    • ◯ YouTubeの仕様により視聴回数が伸びやすい。
    • ◯ 制作の手間が比較的小さく提供しやすい。
    • x 視聴時間や他のコンテンツの伸びに寄与しづらい。
    • x コンテンツの作り込みができない。

いずれにも固有の強みはありますが、「リスナーの時間の奪い合い」という厳しい競争を回避するためには動画に取り組むことが有効であるように思います。

これは単に「配信の苛烈な競争から降りる」という以上に、時間を奪い合うコンテンツの過熱状態を緩和すること、そして時間がないリスナーでも楽しめるコンテンツを提供するという価値があります。

ただ、配信を全くやるべきではないとはなりません。

音楽のライブが現実に大人気コンテンツであり続けているように、ライブコンテンツ自体の需要・魅力というのは間違いなく存在します。

配信の魅力が生きるコンテンツは継続しつつ、そうでもないコンテンツを動画にしていくことで配信の魅力・価値を高める事ができるのではないでしょうか。

また、配信は事前の準備が少ないという長所もあるので、VTuber自身にとっての負担を軽減するためにも取り組む意義がありそうです。

ショート動画は短期的に強力な価値を持ちますが、活動を下支えする力に乏しい印象です。

配信の切り抜きによってそのシステム的な長所を取り込みつつ本配信や横動画への導線とするのが有効そうです。

また、長尺の動画よりも制作コストが低いので活動頻度の維持にも活かせそうです。

おわりに

今回はコンテンツの形式のみに着目して検討してみました。

次回以降はそれぞれの形式と相性の良い内容は何か、またそれぞれの形式を活かしてどのような活動をするとよさそうか、といった部分で考えを深めてみたいと思います。